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フランス知財法改正(Loi PACTE):新たな特許戦略の機会
2019年5月23日に公布された「PACTE」法(第2019-486号)は、フランスにおける知的財産に関する様々な措置を段階的に発効させることを規定しています。
特許に関する措置の中では、以下が挙げられます。
1. 異議申立手続の創設
2. 進歩性要件の導入による審査手続の強化
3. 実用証制度の強化
1. 異議申立手続の創設
異議申立手続は、フランス特許付与後最長9ヶ月以内に、異議申立人がフランス特許庁に対して特許の有効性に異議を申し立てることを可能にします。
この手続により、第三者は、裁判所で訴訟を提起する代わりに、フランス特許庁に対して直接特許の有効性を争うことができます。
異議申立は、2020年4月1日以降に知的財産権公報に特許付与の記載が掲載された特許に適用されます。
この点、当所プラスロー特許事務所は、フランス特許庁から付与されたフランス特許を監視するサービスを提供しています。
お客様の現在または将来の活動分野に応じて、監視対象となる特許のリストを作成することができます。
2. フランス特許庁での審査手続の強化
この法律により、フランス特許庁は、進歩性の欠如を理由に特許出願を拒絶することができるようになります。この措置は、異議申立手続に関連しており、フランスの特許の質を高め、第三者の法的安全性を高めることになります。
進歩性の要件は、2020年5月22日以降に出願された特許出願に適用されます。
3. 実用証の強化
実用証は、発明を保護する産業財産権です。
特許とは異なり、実用証は調査報告書を作成せず、出願の審査を経ずに付与されます。
2020年1月10日より、実用証の保護期間は10年(従来は6年)となりました。この保護期間の延長は、2020年1月10日以降に発効又は出願¬された実用証に適用されます。
また、全ての実用証出願について、実用証出願から特許出願への変更を請求することも可能になりました(従来は、特許出願から実用証出願への変更のみが可能でした)。
このような変更の請求は、出願または優先権の取得から18ヶ月以内に、また、いかなる場合でも、実用証出願の公開に向けた技術的準備が開始される前に行わなければなりません。
PACTE法の新規定により、特許制度で進歩性が特許付与への基準となることから、実用証を選択するメリットが大きくなることも留意すべきです。実用証は、例えば商業的ライフサイクルの短い発明の場合には、特許出願に代わる興味深い選択肢となります。
これらの新しい措置についてのご質問がございましたら、お気軽にご連絡ください。